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【第1章】株式会社の全体像

「株主と役員の力関係」

今回は、株式会社の社員(株主)と経営者(役員)との力関係についてです。会社法ではこの力関係について、「会社(株主)と役員との関係は委任の規定に従う」(会社法第330条参照)と規定しています。この条文の意図するところを考えてみたいと思います。

突然ですが、株式会社で一番権力を持っているのは誰でしょうか?答えは社長ではありません。会社法において、一番権力があるのは会社の所有者ともいえる株主です。もちろん、経営上の判断は役員や取締役会等が決定権を持っていますが、会社の命運を左右するような重要事項は株主総会の決議が必要です。また、株主は気に入らない役員を解任できる強力な切り札も握っています。つまり、株主でない役員はいわゆる「雇われ店長」みたいなもので、オーナーである株主の意思に拘束される立場なのです。

ちなみに、取締役会設置会社では代表取締役の選定・解任については取締役会の専権事項ということになりますが、(株式会社の機関設計の回で詳しくお話します)とにかく、この回では役員よりも株主(株主総会)が強いということをご理解いただければ十分だと思います。(会社法第295条参照)

それでは、なぜ株主は自ら経営をせず役員に経営を委ねるのでしょうか?会社法が想定する本来の趣旨は、株主というのはあくまで投資家にすぎず、経営能力については素人と考えられるから、株主総会において経営のプロである取締役(役員)を選任し、会社の円滑な運営を委ねようということにあります。これを「所有と経営の分離」といいます。

例えが適切かはわかりませんが(笑)、おじさん投資家がブティックを経営する会社を設立しようとする場合、洋服のデザインや流行に疎いおじさん投資家が店舗経営をするよりも、その業界を知り尽くしたオシャレな女性店長に店舗を切り盛りさせたほうが、おじさん投資家が店舗経営にいちいち口出しするよりもよほど良い結果がでるでしょう。要するに「餅は餅屋」の精神なのです。

上記が会社法における株式会社の本来の姿ですが、中小零細企業では所有者(株主)=経営者(役員)という一人二役の形態の会社が主流となっており、「所有と経営の分離」は名ばかりとなっているのが現状です。会社の規模が小さくなればなるほどこの傾向は強くなります。会社法によって一人役員の会社が認められてからは新しく設立する株式会社はほぼ一人二役の会社です。前回のお話とも絡みますが、この一人二役の会社の場合、会社の損害について、株主としては出資責任(有限責任)のみしか負いませんが、別途、役員として責任を負う場合がありますので注意が必要となります。

次回は、株式の譲渡制限についてお話をしてみたいと思います。

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