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【第5章】取締役

取締役の選任及び解任

取締役選任及び解任手続きは、他の役員の手続きと共通なものと取締役特有のものとに分かれます。

1.原則(会社法第329条参照)

①取締役の選任・・・株主総会の普通決議(定款で定足数を議決権の3分の1以上とすることも可)
②取締役の解任・・・株主総会の普通決議(定款で決議要件を出席株主の議決権の過半数以上に加重することも可)

第3章にて、普通決議の定足数は定款で自由に定めることができる(=定足数を排除することもできる)と説明しましたが、取締役の選任決議については定足数は最低でも議決権の3分の1以上は必要となります。
また、解任についても出席株主の議決権の過半数ではなく、さらに加重(例・3分の2以上)とすることができるようになっています。取締役は会社経営の重要な舵取り役ですから、その選任及び解任の決議については、慎重に行えるようにすることが可能となっているのです。

正当な理由なく解任された取締役は、会社に対して解任によって生じた損害の賠償を請求することができます。(会社法第339条第2項参照)会社と取締役との関係は委任契約と同様の関係にありますから、会社から正当な理由なく一方的に取締役を解任された場合には、当然会社に対して損賠賠償請求権を行使できることになります。

2.取締役に特有の問題点

取締役の選任については、累積投票という制度が存在します。(会社法第342条参照)この制度は、取締役を二人以上選任する場合に適用され、例えば取締役3名を選任する株主総会において、議決権のある株主から請求があった場合には議決権1個につき3個の議決権を与えるものです。
先に述べたとおり、取締役は会社の舵取り役ですから、株主にとって自分と息の合う人物を取締役に選任することは非常に重要となります。この点において、株主平等の原則を貫くと大株主のお気に入りばかりが取締役に選任され、少数株主の意見が切り捨てられてしまうことからこの制度が設けられているのです。
累積投票制度によって少数株主は取締役候補1名に3個の議決権を集中して投票できるため、自分のお気に入りの取締役が選任しやすくなるというカラクリなのです。

累積投票制度については、以下の点に注意が必要です。
①累積投票により選任された取締役を解任するには、株主総会の特別決議が必要です。(会社法第342条第6項参照)少数株主保護のために累積投票制度があるのに、大株主が普通決議でその取締役を解任できるとすると累積投票制度の趣旨が失われるからです。
②累積投票の制度は、監査役、会計参与・会計監査人には適用がありません。
③募集設立における創立総会においても取締役の累積投票制度を採用することが可能です。
④定款をもって、累積投票制度を排除することが可能です。(実務上、ほぼすべての会社がこの累積投票制度を排除しています。)

次回は取締役の代表権について考えてみたいと思います。

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