株主総会における株主の権利
今回は、株主総会における株主の権利について考えてみます。
1.株主の提案権
株主の提案権とは、株主総会招集があったことを前提として、株主が「今度の株主総会ではこの事項を議題にしてください。」と請求できる権利です。(会社法第303条参照)取締役会を置かない会社では1株を保有していればこの権利を行使できます。一方、取締役会設置会社では、総株主の議決権の100分の1または300個以上の議決権を保有している株主に限り行使ができます。さらに株式譲渡制限のない会社では6ヶ月前から株式を所有していることが条件となります。ただし、これらの各数値は、定款で条件を引き下げることも可能です。
また、株主は株主総会のその場でいきなり議案を提出することも可能です。これを修正動議といいます。(会社法第304条)ただし、過去3年以内に同一の議案が総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られずに否決されている場合には議案の提出ができません。株主の権利濫用を防止するためです。
2.株主の権利行使
株主は、議決権の行使を代理人に委ねることができます。ただし、個別の株主総会ごとに委任状を交付することが必要です。(会社法第310条参照)
また、株主総会の招集手続きにおいて、書面による議決権行使を認めるか否かは自由です。ただし、株主の数が1000人以上の会社では書面による議決権行使を認めなくてはなりません。(会社法第298条第2項参照)
さらに、株主には議決権の不統一行使が認めれられています。(会社法第313条参照)たとえば2個の議決権を有する株主が1個は賛成、残りの1個は反対に投票することが可能です。(取締役会設置会社の場合では、株主は総会の3日前までに議決権を不統一行使する旨を会社に通知しなくてはなりません。)ただし、この議決権の不統一行使に正当な理由がない場合、会社はこの議決権の不統一行使を拒むことができます。
最後に、株主は株主総会において取締役等に対して特定の事項について説明を求めることができます。取締役等はこの要求に応じる義務がありますが、株主総会の目的とは関係のない説明要求や株主利益を著しく害する場合、その他正当な理由等があればこの説明を拒むことができます。(会社法第314条参照)要するにクレーマーのような株主の説明要求を排除するための規定です。
次回は、株主総会の決議要件について考えてみます。