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小さな会社のための会社法講座

資本金500万円以下の会社を設立したい方向けのやさしい会社法解説です。

【第5章】取締役

取締役の資格

 この章では、会社の取締役にスポットを当てて考えていきます。

 第一章でも述べたとおり、取締役は株主又は株主総会に委任された会社経営のプロであり、すべての株式会社に必置の機関です。雇われ店長みたいなもので、利益を出さないとオーナーである株主から怒られる立場にあります。
 
取締役になるためにはその資格に制限があります。取締役になれない者は以下のとおりです。

 条文は長くてややこしいのでこれを超約すると、法人、正常な判断能力に乏しい人、会社法関連の罪を犯して刑を終えてから2年を経過しない者(罰金刑・執行猶予中の者も含む)、禁固刑以上の刑に処されて執行を終えていない者(執行猶予中の者を除く)は取締役になることができません。(会社法第331条第1項参照)
 細かい要件は条文をご覧いただくとして、特徴的なのは商法では取締役になることができないとされていた破産者が会社法においては取締役となることができる点です。これは、中小零細企業の経営者は銀行から個人保証を強いられることが一般的ですから会社と経営者が破産して共倒れになるケースが非常に多いことから、そのような経営者にも敗者復活のチャンスをあたえる趣旨で破産者が排除されたものです。(余談ですが、この個人保証については民法を改正する動きがあります。)

 また、株式会社は、定款に定めても取締役の資格を株主に限定することができません。というのが会社法の原則ですが、例外的に株式の譲渡制限のある会社(非公開会社)はこの限りではありません。つまり、世の中のほとんどの会社は非公開会社ですから、取締役の資格を株主に限定できるということになります。ここでも原則と例外が入れ替わる会社法でありがちなパターンとなります。(会社法第332条第2項参照)

 なぜ株式の譲渡制限のない会社(公開会社)は取締役の資格を株主に限定できないのでしょうか?株式の譲渡制限がない会社とうことは、株式を自由に譲渡し、広く投資家から出資を募って会社をどんどん発展させようという会社ですので、経営のプロである取締役を選任するのに、その人選の幅を制限するべきではないからです。一方で非公開会社は比較的規模の小さい会社で株主がそのまま経営を仕切りたいということも考えられますから、取締役の資格を株主に限定することができるのです。

 次回は、取締役の任期について考えてみたいと思います。

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【第4章】株式会社の機関(総論)

「役員総論」

 前回までは株主総会についてのお話でしたが、この章では株主総会以外の機関について考えていきます。

 株式会社には、必ず取締役を置かなくてはなりません。(会社法第326条第1項参照)第三章で説明した株主総会と取締役は全ての株式会社に必ず置かなくてはならないセット商品です。したがって、この2つの機関を定款に定めても登記事項とはなっていません。
それ以外の機関を置く場合には定款に定めなくてはならず、かつ登記事項となります。それ以外の機関とは、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会のことを指します。(会社法第326条第2項参照)

取締役、会計参与、監査役のことを役員といいます。(会社法第329条第1項参照)会計監査人は役員に含まれていません。会計監査人は監査役会や監査役などがチェックした財務諸表を会社から一定の距離を置いた監査のプロとしてダブルチェックする役割を果たしていることから、役員とはなっていないと考えられます。

役員及び会計監査人は株主総会の決議で選任されます。役員については、役員が欠けた場合の補欠役員をあらかじめ選任しておくことができます。(会社法第329条第2項参照)ここでも会計監査人が仲間外れとなっている理由は、役員の場合、その人の「個性」に着目して株主から経営や監査などを委任するのですが、会計監査人になれるのは公認会計士か監査法人という監査のプロとしての「資格」に着目して委任しますので、他の公認会計士や監査法人でも代替性が効く役職であるといえます。つまり、あらかじめ補欠の会計監査役を選んでおかなくても代わりはいくらでもいるでしょうという趣旨です。
ちなみに、会計参与も公認会計士や税理士などに資格が限定されますが、こちらについては「ちょっとうちの会計チェックしてよ」と知り合いの税理士などの「個性」に着目して委任するイメージですので補欠を選べるのです。

 補欠役員選任決議の効力は、選任後、最初の定時株主総会開始の時までとなります。つまり、補欠役員は次の定時株主総会までのスペアなのです。同一人物を再度補欠役員としたい場合は定時株主総会開催のたびに決議する必要があります。

 次回は、役員及び会計監査人の責任について考えたいと思います。

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【第3章】株主総会

「序論・株主総会の正体」

 今回からは、株主総会についてのお話しです。会社法では招集通知の方法や議決権など、かなり細かく規定しているのですが、初回ですので条文の解説は省いて株主総会って実際はどういうふうに行われているの?というお話しからしてみたいと思います。

株主総会は、株式会社の所有者が集まる総会であり、最高決定機関です。会社法では株主総会+取締役のみという機関設計が認められましたので、株主総会の重要性は益々高くなったといえます。

 株主総会というと、東証一部上場企業のようなホールを貸切っての一大イベントというイメージが先行しがちですが、圧倒的大多数のいわゆる中小企業の株主総会は日常の会議と大差ありません。本店の会議室や応接室で開催されることが多いです。

 さらに、会社法では株主全員の同意書を揃えることで株主総会の決議があったものとみなすといういわゆる書面決議も認められています。金融機関や大手企業の子会社などは関連会社が株主となっていることが多いので、株主総会を開催せず、書面決議を採用する会社が増えています。その他書面決議の詳細については、後述いたします。

最近の株式会社設立の主流である1人株主の会社などは「株主総会は株主総会議事録にハンコだけ押して終わり」というのが普通です。株主が1人しかいないのに自分が議長になって「第一号議案○○に関する件」なんて読み上げても聞く人がいないですからね(^^)つまり、株主(ほとんどが代表取締役兼任)が自社の構想などを頭の中で決定して、所定の書式にあてはめていく作業が1人会社の株主総会なのです。

 株主2~3名の同族会社も1人株主の会社と同様に株主総会議事録のみで済ませてしまうことも多いですし、ダイニングで夕食をしながら「来月から会社の商号を変えるぞ~。」なんて話をするのも立派な株主総会です。会社法施行規則において株主総会議事録に記載しなくてはならない事項が細かく規定されていますので、書面でみるとかなりお堅い文章になるのですが、ほとんどの株式会社の株主総会というのは、かなりあっさりしたものなのです(^^;)

 次回は、株主総会の種類と招集方法について考えていきます。なぜ株式会社の最高決定機関である株主総会がこんな簡潔にできるのかという理由も条文を交えながらお伝えしていく予定です。

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【第2章】株式会社設立

「発起人」

今回からは株式会社設立についてのお話です。これまでは株式会社の総論的なお話しでしたが、今回からは各論として詳しく説明していきたいと思います。

株式会社設立の基本的な手続きは、①定款の作成、②出資の履行、③機関の設置、④設立時役員の調査、⑤設立の登記の手順で行うのが会社法の原則です。しかし、いわゆる1人会社では③の機関の設置について定款で定めてしまうことが多く、実務上は③を省略し、①→②→④→⑤の手順で行うことがほとんどですので、その手順に沿って説明をします。そのほうが捺印する書類が少なくなり、ミスが起きる可能性が小さくなるという実務上のメリットもあります(笑)

株式会社を作ろうと思った場合、第一歩となるのが発起人による定款作成です。発起人とは定款に発起人として氏名・名称及び住所が記載された者のことです。(会社法第27条参照)自然人だけでなく法人も発起人になることができます。たとえ会社設立の計画や定款案の作成に係わっていても、定款に記載がなければその人は発起人ではなく、設立しようとする会社においては何の権利義務も持たないのが原則です。(会社法第103条第2項に募集設立の場合の例外あり。募集設立の回に説明します。)また、発起人は設立する会社の株式を1株以上引き受けなければなりません。つまり、発起人は設立後最初の株主となる人なのです。この発起人が作成した設立時の定款(原始定款)は、発起人全員が署名又は記名押印し、公証人の認証を受けることにより効力が発生します。<会社法第30条参照>

定款の認証後、発起人は資本金を払込ます。払込むといってもこの時点では会社は成立していませんから会社名義の口座などあるはずもありません。ですので、発起人の個人の銀行口座に資本金を払込むことになります。ここで注意すべきは、残高が資本金の額以上あれば良いというわけではないという点です。例えば資本金100万円の会社設立で残高が150万円である場合、定款認証日以降に自分の口座内で100万円を出し入れする必要があります。金融機関の本人確認も厳しい中、このような面倒臭いことをする理由は個人の資産と設立する会社の資産を明確に分けるという意味があるからなのです。この発起人の通帳の写しを払込証明書として法務局に提出することになります。(ただし、この点についても募集設立の場合の例外があります。)

商法において添付書面だった設立時役員の調査報告書については、金銭出資による発起設立では添付不要となりましたが、制度としては現在も存在します。詳細は後述します。

資本金の払込が完了した後、株式会社設立登記申請書を法務局に提出することによって株式会社成立となります。(会社法第49条参照)つまり、法務局の開庁していない1月1日に成立した株式会社というのは存在しないことになります。

次回は、株式会社の原始定款の作成について詳しく考えていきたいと思います。

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【第1章】株式会社の全体像

「株式会社とは?」

この章では、会社法の中で最も重要なテーマである株式会社に関し、そもそも株式会社の存在意義とは何なのかという基本的な部分について考えてみたいと思います。

個人で事業を営む場合、その資金力には限界があります。生活資金とは別途に事業用資金を何千万円、何億円と用意できる人というのは日本国民のごくごく一握りしかいないでしょう。少ない資金では社会的信用も低く、事業拡大をするのは簡単ではありません。そこで一般の投資家(株主)から出資を募り、潤沢な事業資金を調達しやすくするために非常に便利なのが株式会社なのです。基本的には、投資家から集めた資金が株式会社の資本となります。

しかし、投資家に大金を投資してもらうためには、何らかのメリットが必要となります。そのメリットの代表例が配当金です。株式会社は投資を受けた資金で事業活動を拡大し、そこから得た利益を配当という形で株主に還元することで成り立っています。極言すれば、株式会社は株主を儲けさせるために存在するのです。だだし、株式会社のお金なら何でも配当できるというわけではなく、会社債権者保護のため一定の財源規制がかかります。この点については、後述することになります。

このように、株式会社は多くの事業資金を得るためにとても有効な制度ですが、さらに投資家が安心して出資できるようにセーフティーネットが張られています。 個人事業主の場合、事業で出した損失は全て自分で責任を負うことになりますが、株式会社の場合、会社が損失を出しても株主は責任を負いません。株主は約束した出資金を払い込めばそこで責任から解放されるのです。(会社法第104条参照)たとえ巨額の負債を抱えたまま株式会社が倒産したとしても株式会社が作った借金まで株主として責任を負うことはない制度になっています。これを会社法では株主有限責任の原則といいます。

つまり、株式会社の社員は有限責任社員のみで構成されているのです。「有限責任」とは約束した投資を実行することであり、「社員」とは会社の出資者のことをいいます。ちなみに、会社法上、社員というときは全て従業員ではなく出資者という意味で用いられています。この社員が集まって株主総会を開き、役員に経営を委ねていくことになります。

次回はその社員(株主)と経営者(役員)との関係について述べたいと思います。

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【序章】会社法とは?

会社法とは、会社法制の現代化に対応するため平成18年5月1日施行された法律です。それまで、「会社法」という独立した法律は存在せず、商法の第二編、有限会社法、商法特例法というそれぞれ別個の法律に基づいて実務が運用されていました。平成に入り、会社分割制度の創設や持ち株会社の解禁など、次々と新しい制度が出来る度に商法を改正して対応してきましたが、新しい時代に対応すべく、一つの法律として再編成されたものです。

会社法施行において目玉となっているのは、なんといっても株式会社における定款自治の拡大です。有名なところでは、株式会社は原則として1,000万円以上の資本金と役員4名(取締役3名・監査役1名)がいないと設立できませんでしたが、会社法では資本金の制限はなくなり、役員についても最低1名いれば設立できることになりました。その他の詳細については後述しますが、旧商法の常識が通用しなくなる大改正でした。

商法時代は定款の記載内容ががんじがらめになっており、どの会社の定款もだいたい同じ内容でしたが、現在では自由度が高すぎて定款案を構成する際はかなり実務家としての知識とセンスを問われます。例えば、一番シンプルなテンプレートどおりに定款を作ってしまうと、株主に相続が発生した場合の定めがなかったりしますので、小規模な会社では株主総会に支障が出るケースが考えられます。最悪の場合、会社を乗っ取られます。詳細については株式のテーマの際にお話ししますが、ただ定款を作るだけなら誰でも出来てしまうのが怖いところです。実は非常に奥が深く、落とし穴も多いのが会社法における定款なのです。逆にいいますと、定款を極めれば会社法も極めることができるといっても過言ではないのではないかと思います。

次回は会社法のメインである株式会社の全体像からお話を進めたいと思います。

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