「株主総会の種類と招集通知」
今回は、株主総会の種類と招集通知について考えていきます。株主総会の種類というと種類株主総会を連想してしまう方もおられるかと思いますが、今回のお話では定時株主総会と臨時株主総会との区別という意味で「種類」という言葉を用いていますのであらかじめご了承願います。
なお、会社法施行に伴い株主総会の開催地については制限がなくなりました。会社とは縁もゆかりもないリゾート地で開催することも可能です。
1.定時株主総会と臨時株主総会
定時株主総会は、毎事業年度の終了後、一定の期間内に招集をしなければならない年に一度の株式会社のメインイベントです。(会社法第296条第1項参照)「一定の期間」に会社法上の制限はないのですが、通常は定款で「事業年度終了後3ヶ月以内」としている場合が多いです。多数の株主を抱える株式会社では、慣例上3月に事業年度が終了する会社が多いですから、5月になると招集通知の発送や総会対策に奔走することとなります。総会の主な決議内容は決算報告書の承認や任期満了を迎える役員の改選についてです。
臨時株主総会は、必要に応じていつでも何度でも開催できる総会です。(会社法第296条第2項参照)この臨時株主総会は、いわゆる上場企業は開きたがりません。何千人もの株主に招集通知を送付し、その人数を収容する大ホールを押さえるには多額のコストがかかりますから、定款で可能な限り取締役会へ権限を委譲して臨時株主総会開催の必要性を最小限に抑えています。つまり、上場企業等で臨時株主総会が開催されるときは経営上の不祥事、合併や株式併合などネガティブな議案を仕方なく掲げているケースが多いです。一方、1人会社や同族会社では、臨時株主総会の開催率が高く、増資や定款の変更決議など、会社の必要に応じて機動的に決議している会社がほとんどです。
2.株主総会の招集通知
株主総会の招集通知の方法は、株式譲渡制限や取締役会の有無など会社によって異なっています。
一番簡単なパターンは1人会社や同族会社などの株主=役員の会社です。これらの会社では自分たちの意思を迅速に決議することが重要ですから、招集通知は簡易の方法で行うことができます。原則として取締役が招集し、1週間前までに通知を発することが必要ですが、定款でこの期間を短縮できます。(前日でも可)さらに、原則として口頭による通知も可です。さらに、口頭による通知の場合は総会の目的すら明かさなくても良いことになっていますので、前日、夕食を食べながら「明日9時に会社の応接室で株主総会を開催します」なんてことも可能です。
一番やっかいなのが株式の譲渡制限がなく、取締役会を置いている会社(いわゆる上場企業や大規模会社)です。これらの会社は原則として取締役会が招集を決議し、2週間前までに書面で通知を発送しなくてはなりません。招集通知には、総会に関する日時、場所などの基本的な事項はもちろん、過去の定時総会日や開催場所とかけ離れて行う場合にはその理由などを記載する必要があります。さらに、書面での議決権行使やインターネット投票を認めている会社では、議決権行使に関する参考書面(決算書や選任予定役員の略歴等)も添付し議決権を的確に行使してもらうための情報を提供しなくてはならないのです。
なお、取締役会を置いている会社でも、株式の譲渡制限がある会社は、株主が少なく経営規模もそれほど大きくない会社が多いため、1週間前までに通知を出すこととなっています。1人会社などのケースと違い、この期間は定款でも短縮することはできません。
以上の他にも会社法や会社法施行規則にはかなり細かく規定されているのですが、概略を私なりにまとめてみました(^^;)次回は、株主総会における株主の権利にスポットを当ててみたいと思います。